アーチャンの入院手続きを済ませ、5分後に車で家に着いたらすぐに携帯が鳴りました。
病院からで、アーチャンの危篤を知らされました。
なんでも、点滴をしようとしたらアーチャンが暴れ出し、気が高ぶって心臓が止まりましたが回復したそうです。
なんてことでしょう…。
そばにいてあげれば良かったと思いながら、あわてて病院へ戻りました。
病院では処置室で管や線を付けて横たわっていました。
先生がそばで処置をしながら様子を看ていました。
アーチャンの意識はないみたいでした…。
今日は出かけずにずっと家にいれば良かった。
そして抱っこしてあげていれば良かった。
病院でも付き添っていれば良かった。…
いろいろな後悔が頭の中を薄巻いていました。
アーチャンは、ここ半年はずっと病院通いで、家でもインシュリンの注射を毎日していました。
きっと苦しい日が多かっただろうね。
でも猫は苦しくても我慢しちゃうそうです。
あまりわかってあげられなくて、ごめんなさい…。
アーチャンが元気な時は、私が帰るといつも窓や、サンルームのガラス越しに迎えてくれました。
最近はそれもあまりなく、きっと身体がだるく、苦しかったのでしょう。
今、目の前のアーチャンが、意識がないのに、横たわったまま、歩くような動きをしました。
「アーチャン…。」
涙があふれてきます。
先生が
「つらかったら、あちらの部屋で待ちますか?」
と言われましたが、そばにいて、時折身体を撫でたり、「アーチャン。」と呼びかけたりしました。
アーチャンは意識の底で、私を感じてくれたでしょうか?
アーチャンは病院嫌いで、いつも病院では緊張していました。
一度は、猛獣のように声を上げたこともありますし、診察中や入院中暴れたこともあります。
でも、私が撫でたり、よしよし、と言ってあげたりしていると、嫌いな注射中もおとなしくしていました。
私がいたら少しは安心できたかな?
でも、そのうち、アーチャンの前足が空を切るように動きました。
目を覚ますのかな?と思ったら先生が「苦しいんでしょう。」と、言われました。
「アーチャン…!」
アーチャンの心臓が止まりました。
先生は電気ショックを試みましたが、アーチャンの小さな身体がガクン!となり、私はかわいそうになって「もういいです。」と言いました。
このまま、眠って天国に行って…。
「そうですか…。今度はアーチャン戻ってくれなくて…残念でした。」
先生も今までよくしてくださいました。
「抱っこしていいですか?」
管や線を取って、アーチャンを最後に抱っこしました。
クニャッと力が抜けたようになる身体を抱きながら、泣いてしまいました。
いつも抱っこしてたけど…、これが最後の抱っこだね。
ごめんね、ごめんね。アーチャン。
長生きさせてあげられなくて。
いつもそばにいれなくて。
アーチャンは8年の命を閉じました。