そのまま、アーチャンは先生方に最後の処置をしてもらいました。
私は処置室の外で待っているように言われました。
アーチャンが初めて家に来た日を思い出しました。
あの時はまだ目も見えずただ泣いていた。
猫の飼い方が全然わからなかった私。
先の見えない毎日、一概に楽しかったとは言えません。
でもいろいろなことがあった。
小さい頃は噛みついてばかりいたアーチャンも、最後は私を頼っていた。
苦しいところから助けてくれると思っていたのか。
それとも、もうお別れが近いことを、察していたのか。
いじらしく、かわいそう、ごめんなさい。
自分自身毎日が忙しくて、十分なことしてあげられなかった。
まだ一緒の日々があると思っていたのに。
やがて携帯で呼び出した次女が、学校から帰って病院にやってきました。
先生に呼ばれ、処置室にはいると、箱が置いてありました。
中にアーチャンが入っていました。
まだ生きてるみたいだけど、もう目を開けることはないんだね。
次女も私も涙でいっぱいでした。
「先生、今までありがとうございました。」
「元通りにしてあげられなくて。。ごめんなさい。」
そうして、車に乗せて、アーチャンを家に連れて帰りました。
「アーチャンの大好きなおうちだよ。」
ほとんど外に出たことのなかったアーチャンは、この家に一番長くいた住人でし
た。
その日は、幾度も箱を開けてアーチャンを見ました。
だんだん堅くなっていくのが悲しかったです。
明日は、お仕事に行かなければなりません…。