ゆめねこはうす

気になった本、歴史、音楽などの覚書き

窓辺の猫(4)〜アーチャンの最後の日・小さな棺に

 そのまま、アーチャンは先生方に最後の処置をしてもらいました。
 私は処置室の外で待っているように言われました。

 アーチャンが初めて家に来た日を思い出しました。
 あの時はまだ目も見えずただ泣いていた。
 猫の飼い方が全然わからなかった私。
 先の見えない毎日、一概に楽しかったとは言えません。
 でもいろいろなことがあった。

 小さい頃は噛みついてばかりいたアーチャンも、最後は私を頼っていた。
 苦しいところから助けてくれると思っていたのか。
 それとも、もうお別れが近いことを、察していたのか。

 いじらしく、かわいそう、ごめんなさい。
 自分自身毎日が忙しくて、十分なことしてあげられなかった。
 まだ一緒の日々があると思っていたのに。

 やがて携帯で呼び出した次女が、学校から帰って病院にやってきました。
 先生に呼ばれ、処置室にはいると、箱が置いてありました。
 中にアーチャンが入っていました。
 まだ生きてるみたいだけど、もう目を開けることはないんだね。

 次女も私も涙でいっぱいでした。

 「先生、今までありがとうございました。」
 「元通りにしてあげられなくて。。ごめんなさい。」

 そうして、車に乗せて、アーチャンを家に連れて帰りました。
 「アーチャンの大好きなおうちだよ。」

 ほとんど外に出たことのなかったアーチャンは、この家に一番長くいた住人でし
た。

 その日は、幾度も箱を開けてアーチャンを見ました。
 だんだん堅くなっていくのが悲しかったです。

 明日は、お仕事に行かなければなりません…。